同期でいちばん年長者

ともに神官をめざす同級生といえど、ヨシュア以外はほとんど子ども。意味不明のケンカが勃発することも。その仲裁もヨシュアの役目?

「魔操が出来ないのと胸が小さいのは違うわ!」
「違わないよ! 先天的残念さって点では同じだよ!」
「だったら、あなたの『おっさん』っていうのはどうなの? 無駄に年取ってる相手だからって、そんな風に口開くたびに思い知らせるのは下品だし残酷なんじゃなくて?」
「おっさんっていうのは客観的事実で悪口じゃないだろ! おまえは悪口言い過ぎなんだよ!」
「なら、劣等生だって客観的事実じゃないの!」
「バカにバカってはっきり言うのは可哀想じゃないか!」
「貧乳よりはバカの方が本人の努力次第でまだどうにかできるわ! バカの方がマシよ、バカの方が!」
 もはや、なんのための喧嘩で誰が標的かも判然としない。ヨシュアは本日一番のいい笑顔を二人に向けた。
「あの、すみませんが、二人とも。さっきから流れ矢半端ないのでそろそろ止めてくれないかな?」
 右手でラキシュの襟首を掴み、左手でティエルの額を押さえつける。しかし、怒りに沸き立つ少女たちはなおも抵抗を止めない。ラキシュは半ば吊り下げられたまま手足をバタつかせ、ティエルはぐいぐいと額でヨシュアの掌を押し返し前へ突き進もうとしている。
「や・め・な・さ・い、と———言ってるでしょう?」
 びしり。
 笑顔はまったく変わらない。
 が、ヨシュアの額に青筋が浮いた。
 その刹那、場の空気もまた凍りつく。ほんの、本当にほんの少しだけ閃かせたヨシュアの本気の怒りに、あたりのムードは一変した。
 ヒッと喉を鳴らしてラキシュが体を縮こまらせ、ティエルはヨシュアの手を撥ねのけ取り巻きの少年の背後に逃げ込んだ。